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テノントサウルス

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Tenontosaurus
   



テノントサウルスの歯化石

テノントサウルスの頬歯は、厚みがあり、イグアノドンの歯に似ているが、歯冠高に
対する歯冠幅が広いようである。歯は、横1列に隙間無く並ぶ。歯冠には、前縁と後
縁の両方の先端付近に尖った鋸歯がある。歯冠中央付近の幅が広く、先端に向かって
狭くなる。また、歯根に向かっても狭くなる。歯冠のエナメル質表面には、縦溝が見
られ、中央隆起が顕著である。下顎歯の中央隆起のあるエナメル質表面は、舌側にあ
り、逆に、上顎歯の中央隆起のあるエナメル質表面は、頬側にある。咬合の仕方は、
ハドロサウルスなどと同じで、下顎歯の頬側に上顎歯が滑り落ちるように咬合する。
そのため、下顎歯の頬側には、広い咬耗面が形成される。上顎歯は、舌側に狭い咬耗
面を形成する。


テノントサウルスの化石
テノントサウルスの化石は、1903年のアメリカ自然史博物館の遠征において、モン
タナ州のビッグホーン郡で初めて発見された。その後も、多数の標本が、発見された。
1960年代にイェール大学は、モンタナ州とワイオミング州のビッグホーン盆地(クロ
ーバリー層、1億1500万年前~1億800万年前)の広大な地域で、長期に渡る発掘を行っ
た。遠征は、ジョン・オストロムに率いられ、この調査隊は、40個体以上の新たな標
本を発見した。1970年以降、クローバリー層の他、オクラホマ州のアントラーズ層、
テキサス州のパラクシー層、アイダホ州のワヤン層、ユタ州のシーダーマウンテン層
、メリーランド州のアランデル層などで多数の標本が発掘されている。モンタナ州お
よびワイオミング州のクローバリー層では、テノントサウルスの化石は、2つの岩相
層序で一般的に見られる。古いほうは、リトルシープ泥岩部層、より新しいほうはハ
イメス部層である。累層の最古の部分であるプライヤー礫岩には、テノントサウルス
の化石は、一切含まれていない。リトルシープ泥岩部層では、最も新しい最上部での
み見られる。テノントサウルスの個体群が、ビッグホーン盆地の地域においては、リ
トルシープ泥岩部層の後期になるまで到来しなかった。このとき、この領域は、砂漠
気候から半砂漠気候になり、乾季と雨季があった。テノントサウルスの個体数は、こ
の気候の劇的な変化に対し増加傾向を示した。テノントサウルスの化石とともに、鳥
に似た肉食の獣脚類デイノニクスの歯や多数の骨格が見つかることが多い。デイノニ
クスは、テノントサウルスの主要な捕食者であった可能性が高い。デイノニクスの成
体は、テノントサウルスの成体よりはるかに小さく、単独では、狩りは成功しない。
テノントサウルスの幼体を好んで狩り、ある程度の大きさに達した個体は、死体を漁
られることあっても、小型の獣脚類からは、獲物として避けられていた可能性が高い。







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