展示標本のサイト
爬虫綱・双弓亜綱・主竜類・ 恐竜上目・鳥盤類・鳥脚類・ ヒプシロフォドン Reptilia・Diapsida・Archosauria・ Dinosauria・Ornithischia・Ornithopoda・ Hypsilophodon |
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ヒプシロフォドンの歯は、前上顎骨歯が5本あり、上顎骨には、10本から11本の歯、 下顎には、13本から14本の歯が歯列にある。下顎歯の舌側エナメル質の表面は、上 顎歯の頬側表面には存在しない強い中央隆起を有する。顎関節が、歯列の高さよりは るかに低いという共通の派生特性を特徴としている。ハドロサウルスなどと同じで、 下顎歯の頬側に上顎歯が滑り落ちるように咬合する。そのため、下顎歯の頬側には、 広い咬耗面が形成される。上顎歯は、舌側に狭い咬耗面を形成する。歯が顎のはるか 後ろに設定された頭蓋骨の構造は、頬があり、食物の咀嚼を容易にする高度な機能で あったことを強く示唆している。エナメル質の表面に23から27本の垂直の隆起を持 つ上顎歯と下顎歯があり、下顎の歯列は、頬側に湾曲し、上顎の歯列は、舌側に湾曲 しているため、咬合によって自然と研ぎ澄まされ、常に鋭利な刃を形成している。歯 は、交互の配置で継続的に交換され、2から3つの交換波が、顎の後ろから前に移動し た。 |
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ヒプシロフォドンは、イギリス、ワイト島、南西海岸にあるカウリーズチンの西の白 亜紀前期(1億3000万年前)のウェセックス累層から、1849年に発見された。化石は、 1個の椎骨、肋骨の一部と烏口骨、骨盤の一部、部分的な後肢、2個の尾椎であった。 ヒプシロフォドンは、前上顎骨歯がある原始的な鳥脚類で、草食性または、雑食性で、 小型で機敏な二足歩行の恐竜であった。その後、頭蓋骨、それに続く背椎骨が発見さ れ、同一の種類であると確認された。鼻腔開口部は、前上顎骨の前突起によって完全 に分離されている。よって、鋭いくちばしを備えた先のとがった頭を持っていた。軽 量で最小化された骨格、低くて空力的な姿勢、長い脚、硬い尾など、二足歩行で走り に徹した体型であった。短い前肢には、5本の指があり、後肢には、4本のつま先が あった。ワイト島で発見された標本以外は、別種の、ヴァルドサウルスに属している とされ、ヨーロッパ各地で発見されたものも異なる種と判断されている。よって、以 前、ヒプシロフォドン科が存在したが、現在は、ヒプシロフォドン単独の派生属とし て扱われている。体長は、1.5m~2m、体重は、20Kgと推定されている。 以下に、ヒプシロフォドンに近縁な属、系統が不明確な属を示す。 ヒプシロフォドンの近縁属等 ① リーエリナサウラ (Leaellynasaura) (オーストラリア・ビクトリア州、白亜紀前期) ② ドリンカー (Drinker) (アメリカ・ワイオミング州、ジュラ紀後期) ③ ヤンドゥサウルス (Yandusaurus) (中国・四川省、ジュラ紀中期) ④ アギリサウルス (Agilisaurus) (中国・四川省、ジュラ紀中期) ⑤ ナノサウルス (Nanosaurus) (イギリス・ワイト島、白亜紀前期) ⑥ ラオサウルス (Laosaurus) (イギリス・ワイト島、白亜紀前期) ⑦ オスニエロサウルス (Othnielosaurus) (アメリカ・ワイオミング州、ジュラ紀後期) |
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リーエリナサウラは、オーストラリア、ビクトリア州、ダイナソーコーブの 白亜紀前期(約1億600万年前)のユーメララ層から1987年に発見された。 発見地は、オーストラリアが、南極大陸から北に分離し始めたときに、形 成れた大きなリフトバレー内の氾濫原であった。砂、泥、シルトの堆積 物が、死んだ動植物の残骸を覆い、長い年月、地下の圧力下で硬い岩に変 わった。当時、高緯度であったため、極地の冬の間、太陽の出ない暗い場 所で、大きな目が視力への適応の可能性を示し、おそらく温血動物であっ たと考えられる。年で最も寒い時は、地下の巣穴で過ごした可能性がある。 属名は、発見者であるトム・リッチとパトリシア・リッチの愛娘で、本種の 発掘にも貢献したリエーリン・リッチにちなむ。化石は、2つの断片的な 頭蓋骨を含むいくつかの部分骨格であった。上顎歯は、上顎の側突起の 下にくぼんでいる。上顎歯は、摩耗していない歯の両側に5つの等しく発 達した隆起がある。顕著な一次隆起が欠けている。尾は、長く、体の他の 部分を合わせた長さの3倍であった。系統上の位置は、現在解明されてい ない。おそらく幼体の全長は、約0.6~0.8mと推定されている。 |
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ドリンカーの化石は、アメリカ、ワイオミング州、コモブラフのメインブ レックファーストベンチ採石場のジュラ紀後期(約1億5600万年前)のモ リソン累層から発見された。化石は、部分的な顎、椎骨および部分的な 手足であった。既知の最小の恐竜の1つであり、二足歩行の草食恐竜であ る。ドリンカーの名前は、科学者として19世紀に、1400以上の論文を発 表した古生物学者エドワード・ドリンカー・コープに敬意を表して名付けら れた。数個体の、かなり完全な化石が知られている。複数の密集した個 体は、ドリンカーが巣穴に住んでいた可能性があることを示している。広 い足は、その重量を広い表面積に広げるのに役立った、おそらく湿地環境 に住んでいたことを示唆している。最大全長は、約1.8m、体重は、約10 Kgと推定されている。 |
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ヤンドゥサウルスは、中国、四川省、自貢市、鴻鶴ダム近郊の金子凼での ジュラ紀中期(約1億6500万年前)の下部沙溪廟層(シャキシミアオ層)か ら、1973年に発見された。当時、建設作業中で、誤って恐竜の骨格を機械 により破壊してしまった。属名は、自貢の古名である塩都(Yandu)に由来 するものである。化石は、頭骨を含む部分骨格である。体の大部分の要素 が保存されており、頭蓋骨、脊椎、肩帯、前肢、後肢などが含まれていた。 ヤンドゥサウルスは、素早い二足歩行の恐竜で、足には各4本、手には各 5本の指があった。曲がった頬骨からは目が大きかったことが分かる。上 顎歯は、平行で垂直な隆起部を持ち、舌側が大きく磨り減っていた。全長 は、約3m、体重は、約140Kgと推定されている。 |
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アギリサウルスは、1990年に、中国、四川省、自貢市、建設中の自貢恐竜 博物館のジュラ紀後期(約1億6500万年前)の下部沙溪廟層(シャキシミア オ層)からに発見された。これまでに発見された中で、最も完全な小さな 鳥盤類の骨格の1つである。非常に速い二足歩行のランナーであった。前 上顎骨と上顎骨の歯の形が異なる。前上顎骨には、5つの釘状の後方に曲 がった歯があり、上顎骨の歯は、前後に歯状突起があり、横から見ると三 角形に近い形になっている。前歯骨には、歯がなく、角質に覆われくちば しのようになっていた。頬歯は、葉の形をしていて、歯の波状のエナメル 質は、おそらく耐摩耗性を高めるために備わった。ヒプシロフォドンに形 が似ているが、より原始的である。全長は、約1.2~1.7m、体重は、約40 Kgと推定されている。 |
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ナノサウルスは、アメリカ、ワイオミング州、コモブラフ近くの採石場の ジュラ紀後期(約1億5700万年前)のモリソン累層から発見された。小型 で、短い前肢と長い後肢を持つ、二足歩行の草食恐竜である。化石は、頭 蓋骨を除く、体の部分骨格がそろっている。手は広く、指は短かった。頭 は小さかった。歯は、小さな葉の形をした三角形で、前縁と後端に小さな 隆起と歯状突起が並んでいる。前上顎骨には、装飾の少ない上顎前歯を持 っていた。全長は、約2~2.6m、体重は、30~44Kgと推定されている。 |
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ラオサウルスは、アメリカ、ワイオミング州、コモブラフ近くの採石場の ジュラ紀後期(約1億5400万年前)のモリソン累層から発見された。タイ プ標本の化石は、1つの部分的な尾椎の椎体と1つの完全な尾椎の椎体で あった。部分的な左下腿も見つかった。マーシュが、ヒプシロフォドン科 の代名詞としてラオサウルス科を作り出したが、化石が、少なく、部分的 なので、現在は、属名は疑わしいとされている。タイプ標本は、ナノサウ ルスやオスニエロサウルスの可能性を示唆している。全長は、約2m、体 重は、約30Kgと推定されている。 |
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オスニエロサウルスは、アメリカ、ワイオミング州、コモブラフ近くの採 石場のジュラ紀後期(約1億5600万年前)のモリソン累層から発見された。 属名は、オスニエル・チャールズ・マーシュに献名されたものである。二 足歩行の草食もしくは、雑食の小型恐竜である。化石は、体の全部分が 見つかっているが、頭骨は、不十分である。前肢は短く、長い後肢には、 筋肉が付着するための大きな突起があった。手は小さく、指は太く短かっ た。頬歯は、木の葉形の三角形で、歯状突起のある縁を持つ。単純な構造 の前上顎骨歯を持っていた。ヒプシロフォドンやテスケロサウルスのよう な、肋骨に沿って細いプレートがあった。これは、intercostal plates と呼ばれ、軟骨起源の構造である。分類上、ヒプシロフォドンよりも原始的 で、基盤的である。全長は、約2m、体重は、約10Kgと推定されている。 |