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爬虫綱・双弓亜綱・主竜類・ 恐竜上目・鳥盤類・鳥脚類・ カンプトサウルス科 Reptilia・Diapsida・Archosauria・ Dinosauria・Ornithischia・ Ornithopoda・Camptosauridae |
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カンプトサウルスの頬歯は、厚みがあり、イグアノドンの歯に似ている。大きく発達 したくちばしと、2本の歯が一つの歯槽に縦に並ぶ構造を持つ。くちばしの構造は、 イグアノドンより原始的である。歯冠には、前縁と後縁の両方の先端付近に尖った鋸 歯がある。歯冠中央付近の幅が広く、先端に向かって狭くなる。また、歯根に向かっ ても狭くなる。歯冠のエナメル質表面には、縦溝が見られ、中央隆起が顕著である。 下顎歯の中央隆起のあるエナメル質表面は、舌側にあり、逆に、上顎歯の中央隆起の あるエナメル質表面は、頬側にある。咬合の仕方は、ハドロサウルスなどと同じで、 下顎歯の頬側に上顎歯が滑り落ちるように咬合する。そのため、下顎歯の頬側には、 広い咬耗面が形成される。上顎歯は、舌側に狭い咬耗面を形成する。 |
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カンプトサウルス科は、原始的なイグアノドントの科で、単独に派生した科である。 仙椎が、柔軟性を持つので、ギリシャ語の「曲がった」を意味する「カンプトス」から名 前が付けられた。北アメリカ、ヨーロッパのジュラ紀後期から白亜紀前期に生息した グループである。全体的な体形は、イグアノドンに似ている。比較的重厚な形態で、 頑丈な後肢と広い足を持ち、まだ後肢の指が4本あるなど、原始的である。前肢より も後肢のほうが長く二足歩行に適していたと考えられるが、足跡化石から普段は、4 本脚でゆっくり歩いていたことがわかっている。前肢は、5本の短い指を持ち、親指 のスパイクもあったが、サイズが小さいため防御に使用されなかった可能性が高い。 肉食恐竜からの防御手段は、走って逃げることだったと考えられる。初期型の小型の 鳥脚類からイグアノドン科やハドロサウルス科などにいたる過渡的な状態のグループ だった。ジュラ紀後期から白亜紀前期に生息した。 以下に、カンプトサウルス科の分類と近縁な属を示す。 カンプトサウルス科の近縁属 ① カンプトサウルス (Camptosaurus) (アメリカ・ワイオミング州、ジュラ紀後期) ② クムノリア (Cumnoria) (イギリス・オックスフォードシャー州、ジュラ紀後期) ③ ドラコニクス (Draconyx) (アメリカ・ユタ州、ジュラ紀後期) ④ オウェノドン (Owenodon) (タンザニア、ジュラ紀後期) ⑤ ウテオドン (Uteodon) (イギリス・ワイト島、白亜紀前期) |
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カンプトサウルスのタイプ種は、アメリカ、ワイオミング州、コモブラフ 近くの採石場のジュラ紀後期(約1億5600万年前)のモリソン累層から発 見された、C. dispar(Marsh,1879)で、若年の個体であった。カンプト サウルス・アファノエセテス(C. aphanoecetes)のホロタイプ骨格は、ユ タ州恐竜国定公園のカーネギー採石場の東端で最初に発見された、部分骨 格である。他のカンプトサウルス種には、C. depressus(Gilmore,1909) 、C. leedsi(Lydekker,1889)、C. prestwichii(Hulke,1880)などがあ る。全長は、約5m、体重は、約500Kgと推定されている。 |
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クムノリアは、イギリス、オックスフォードシャー州、カムナー近くのハ ーストヒルのジュラ紀後期(約1億5300万年前)のキンメリッジ粘土層の 下部から発見された。ホロタイプの化石は、部分的な頭蓋骨と下顎を備え た部分的な骨格である。歯冠には、目立つ主隆起があり、その前部には、 5つの二次隆起が歯冠の中央まで伸びている。上顎には少なくとも13本、 下顎には少なくとも14本の歯があった。歯は菱形で、ほとんど帯状部が あり、歯冠の付け根に厚い縁を持っていた。手と足は細身である。おそ らく少年の骨格である。全長は、約3.5mほどと推定される。おそらく、通 常、四足歩行の草食恐竜だった。 |
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ドラコニクスは、「ドラゴンクロー」(竜の爪)を意味する名前が付けられ た。1991年に、ポルトガル、ヴィミオソ村、ヴァル・デ・フラデスのジ ュラ紀後期(約1億4900万年前)のロウリニャン累層で発見された。ホロ タイプ標本は、頭蓋骨を欠く部分骨格で、上顎歯2本、尾骨3本、肋骨1本、右 上腕骨の遠位骨端、1本の手指骨、3本手の爪、右大腿骨の遠位骨端、脛 骨と腓骨の近位骨端と遠位骨端、距骨、踵骨、3本の足根骨、4本の中足 骨、趾骨からなる。背側肋骨の後方側の組織学的薄切片は、最も完全な成 長記録を保存していた。27歳から31歳の個体であった。上顎歯は、頬側 歯冠の遠位側に強い垂直一次隆起がある。食べ物をつかむために、手を使 用した、二足歩行の敏捷な草食恐竜だった。全長は、約3.5m、体重は、150 Kgほどと推定される。 |
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オウェノドンは、イギリス、ドーセット州、ダールストン湾の白亜紀前期 (約1億4300万年前)のパーベック石灰岩から発見された。ホロタイプの 化石は、部分的な下顎骨で、1860年にイグアノドンに、割り当てられた。 2002年にこの種をカンプトサウルスに、割り当てた。2009年に、リチ ャード・オーウェン卿にちなんで、「オーウェンの歯」を意味する新しい 属「オウェノドン」と名付けられた。他には、部分化石が、7つほど見つ かっている。 |
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ウテオドンは、ユタ州に生息していたので、「ユタ州の歯」の意味で名付 けられた。化石は、アメリカ、ユタ州、ユインタ郡、ダグラス採石場のジ ュラ紀後期(約1億5000万年前)のモリソン層のブラッシーベイシン部層 中層から発見された。ホロタイプ標本は、頭蓋骨と尾を除いた、ほぼ完全 な骨格だった。はじめは、カンプトサウルスの新種と思われたが、2011年 に新しい属「ウテオドン」に割り当てられた。最大の体長は、約6m、体重 は、400Kgほどだったと推定されている。 |